愛ニ狂ッタ人
「おはよう」
僕が挨拶を返すと、彼女は決まって微笑む。
そしてピカピカに磨き上げられた机を見て、笑みを深めた。
「これ、綺麗にしてくれたの?」
「そうだよ」
「嬉しい!」
「雪愛(ゆきめ)のためなら、当たり前のことだよ」
「ありがとう!
ねぇ、私の話、聞いてくれる?」
「勿論」
僕は愛しい彼女―――雪愛の隣の席に腰かけた。
「話してよ雪愛」
「でも、恥ずかしいなぁ…」
「心配しないで雪愛。
僕が雪愛を嫌うこと何て、一生あり得ないから。
何があっても、僕だけは雪愛の味方だよ」
僕だけは、雪愛の味方。
言い方を変えてしまえば、
僕以外は、雪愛の味方にならなくて良い。
雪愛の視界に入るのも、僕の姿だけ。
雪愛の声を聞くのも、僕の耳だけ。
雪愛の鼻にはいるのも、僕の匂いだけ。
雪愛の唇を塞ぐのも、僕の唇だけ。
雪愛の体に触れるのも、僕の体だけ。
僕以外、許サナイ…カラ…。