愛ニ狂ッタ人
僕はゆっくりと首を横に振った。
「駄目だ。
雪愛、園田愛恵を殺すなんて考えるな」
「どうしてよ?」
「雪愛の手を、血で染めたくない」
「嫌よ。
染まっても良いわ。
キミが傷つかなければ良いわ」
当時カレカノではなかった僕らだけど。
もうこれは完全にカレカノの関係だ。
まだ、お互いが隠す“秘密”には気がついていないけど。
「雪愛。
アイツを、園田愛恵を殺すな。
雪愛が殺したら、僕は雪愛を愛さないよ」
嘘だった。
僕が雪愛を愛さない、そんなわけなかった。
僕は雪愛を愛していかなくては、生きていけない存在になってしまっている。
雪愛を愛さないなんて、そんなのもし今ここで世界が滅びたとしてもあり得ない。
僕は生涯、一生、永遠に雪愛を愛すると誓える。
「え……。
じゃあ、殺すのをやめるわ。
だから私を、愛してくれる…?」
「勿論だよ雪愛。
…僕、雪愛が好きだ。
僕と、付き合ってくれるね?」
「うんっ……!」
僕は雪愛にキスをした。
もう一生離さないと言う意味を込めて。
雪愛を、犯罪へと走らせようとした、園田愛恵。
生かして、オケナイナ…。