愛ニ狂ッタ人






雪愛はいつもの、花が咲いたような可憐な笑顔を見せると、楽しげに話しだした。






「昨日ね、私ドキドキして寝られなかったんだよ?
何でだと思う?

昨日の夜寝られなかったから、いつもの聞くことにしたの。
そうしたら、ますます興奮しちゃって。

もぅ、キミってばズルいよ。
私のこと、寝かせようとしないんだから。

昨日はねー、雪愛って私の名前、何度も言っていたんだよ?
夢の中まで私のこと愛してくれているの?
本当キミって、優しいよね!

ますます、大好きになっちゃうヨ。


あと、昨日の夜私の写真見て寝たでしょ?
雪愛って何度も呼んでくれたじゃない?

何の写真見ていたの?
私が食べている写真?
私が家で寝ている写真?
私が…着替えている時?

もしかして、また私の写真飾っているの?
そりゃあキミの家は広いから、飾る場所沢山あるだろうけど。

もう100枚超えているんでしょ?
しかもその半分は隠し撮りでしょ?

趣味悪いなんて思わないよ。
だってお互い様じゃない?
まぁそれが当たり前だから、良いわよね。

でも、私はキミみたいに貼ろうとはしないかなぁ。
貼りたいのはやまやまだけど、そんなに壁広くないもの。
キミみたいに撮った写真、全部は貼れないわ。




でも、良いの。
私はキミを撮影した動画が沢山あるから。

キミが真面目に勉強している動画とかー。
キミが寝ている動画とかー。

キミが毎日寝るときに
あたしのドアップ写真にキスしているのも、
勿論知っているわヨ?

それはそれで嬉しいんだけど。
私は動画にキスだけじゃ物足りないわ。
キミにキスされたいの」






…ほらね?

可愛い彼女でしょ?

僕は雪愛の美しき小さな唇を、塞いだ。

誰もいない空間で、静かな永遠を誓う長いキス。






僕以外、

触れるのも、

キスするのも、

許さないヨ……?








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