愛ニ狂ッタ人
膝から崩れ落ちた園田愛恵を見て、僕は溜息をついた。
「疲れたでしょ?」
「…お兄さんに言うの、このことを」
「言わないよ。…それより、はい」
僕は先ほど愛恵ちゃんに渡した、グレープフルーツジュースを再度渡した。
彼女は涙をたっぷり浮かべた目を僕へ向け、震える手で受け取った。
「…許せない?わたしのこと」
「当たり前でしょ?」
僕は笑顔を消し、彼女の目線へ自分の目を合わせた。
「俺から雪愛を奪おうとした罪は重いよ?」
「ヒッ……」
「…飲みなよ」
「何も…入っていないの…?」
「平気だよ」
僕はにっこり微笑み、彼女の手から缶を取る。
そして口を付け、一口飲んだ。
「毒見はしたよ。
愛恵ちゃんも安心して飲みなよ」