愛ニ狂ッタ人
「見てたの、ずっと」
「どこにいたんだ……?」
「そこにある給水塔の裏に隠れていたの」
全部、見られていたのか…。
「止めたでしょ?
私が園田さんを殺すこと。
それなのに、キミが殺すんだね…」
「僕はっ!
…雪愛の手を、血で染めたくなかった。
キミだけは、穢れてほしくなかった。
無垢で、いてほしかったんだ……」
給水塔の裏、か。
しっかり調べておけば良かった。
屋上には僕しか入れないと、思いこんでいたのがいけなかった。
「馬鹿ね。
私はもう汚れているわ。
キミの方こそ、私は綺麗でいてほしかったわ」
「違うっ!
雪愛が穢れていたとしても、僕にそうは見えない。
僕に雪愛は、純粋無垢にしか見えないんだ……」
それなのに、僕は。
雪愛に最低な場面を見せてしまった。
知っているのは、僕だけで良かったのに。