愛ニ狂ッタ人
学校にいる間はまだ良かった。
彼によって守られていたから。
だけど、女子たちの私への疑いは留まることを知らないで。
どうやって調べたのか、私の家にまで来る始末となった。
時間を問わず、女子は私の家に現れた。
どうやら大好きな相手でも、私の傍にいることは許せないみたいで。
“彼のいない”私の家を狙ったようだ。
両親は共働きで、その上私になんて関心ないから。
滅多に家にいることはなかった。
独り暮らしだと言っても、過言ではないと思う。
訪問は当たり前。
時にはイタズラ電話に、『自主しろ』と書かれた手紙が放り込まれていたり。
私の家の電話番号の書かれている緊急連絡網を、その時ほど恨んだことはない。
そんな使わないものに書かれているからいけないんだ。
世間では個人情報を守れと言われているのに。
アッサリ個人情報をバラしているではないか。
鳴りやまないイタズラ電話に、怒りしか覚えない私は、その憎たらしい紙を、ビリビリに破ってしまった。
私のを破っても意味はない。
だけど、怒りをぶつける場所がなかったのだ。