愛ニ狂ッタ人
第2章 彼女side
キミは、私を愛してくれた。
今まで愛なんて言葉を知らなかった私に。
キミと出会った時、運命だと思った。
キミのことは、今の学校に入る以前から知っていた。
…というか、この辺の地域に住む人なら、誰でも知っていた。
憎らしいけど。
キミはかっこよかった。
神様が綺麗に作りすぎたと疑うほどに。
化粧をしても大して可愛くならない私は、彼が羨ましくて仕方なかった。
運命だと思った。
私の王子様だと思った。
だけど、同時に憎らしくもなった。
どうして?
同い年の、性別とかが違うだけの人間なのに。
どうして、私と彼じゃ、見た目が全然違うの?
もし私が彼みたいに、美しかったら。
もし私が彼みたいに、頭が良かったら。
もし私が彼みたいに、何でも器用にこなせたら。
―――あの人たちも、少しは私を愛してくれたのだろうか?