愛ニ狂ッタ人






こくんっ、と彼女が音を立てて紅茶を飲んだのを聞いて、私は切り出す。





「先輩」

「何かしら?」

「本当にアナタは……

















扱いやすい、単純な人デスネ」

















ガチャンッ




大きな音と共に、ティーカップが床へ落ち、割れた。

テーブルの下に敷かれていた、これまた趣味の悪い高級そうな絨毯に、紅茶が染み込んでいく。

同時に、ソファーから、滝田先輩の体も、崩れ落ちた。








< 90 / 234 >

この作品をシェア

pagetop