愛ニ狂ッタ人
「……フフッ」
私は笑みを漏らし、こくんっと自分も飲んだ。
中は、確かに美味しい紅茶だった。
淹れてから時間が経っているのに、全く渋味なんてなかった。
私が、先輩の胸ぐらを掴んで、作業していたこと。
それは、私用に先輩が淹れてくれた紅茶と、先輩が自分用に淹れた紅茶を、すり替えることだった。
正直これを考えた時、実行しようか迷った。
ティーカップを交換するのに、時間がかかるし、音も鳴る。
もし先輩に、すり替えたことを気が付かれたら、計画はパア。
一応パアになった時のために、準備はしていたけど…。
でも、先輩が気づくことはなく、あっけなく死んだ。
やっぱり、私用に淹れた紅茶に、毒をいれていたか。
もしかして…と最初に予想していたことがが当たって、本当に良かった。
私も最初に飲まなくて、良かったわ。
先輩は自分用の紅茶に、当たり前だけど毒はいれていなかった。
だから、安心して私も飲めた。
先輩に近づき、口元に手を持っていく。
彼女は、息をしていなかった。
クラスメイトのスマホを操作した際に使用した手袋をはめ、先輩の首や手首に手を当ててみるけど、脈も感じない。
死んだ、か。
あっけない最後だったなー。
もう少し、
楽しめば、良かったカシラ?