愛ニ狂ッタ人
第7章 彼氏side
僕が突然声を発したからか、彼女―――雪愛は、体を思い切り反応させた。
それさえも可愛いと思えてしまい、口元が緩みそうになった。
「な、何で―――……」
どうやら彼女は、僕が何故こんな夜遅くにここにいるのかと思っているようだ。
そして、何やらイケナイことでもしてきたみたい。
僕を、まるで警察を見ているような目で見ている。
「そんなに怯えないで?」
「……っあ…」
「大丈夫、僕だよ?」
彼女へ近づき、その柔らかい髪の毛を撫でてあげると。
彼女は勢いよく、僕へ抱きついてきた。
その体は震えていて、僕はギュッと壊さないよう、抱きしめてあげた。
「大丈夫だよ、安心して?
…歩ける?」
頷いた彼女を見て、僕は支えながら歩き始める。
先ほどの彼女同様、警察の目を気にしながら、僕は少し先にある曲がり角へ向かう。
そして曲がった所に停められていた車に、彼女を乗せた。