愛ニ狂ッタ人
部屋に入ると、雪愛はまだ眠っていた。
楽しい夢を見ているのか、時折微笑む。
その姿も、本当に愛しい。
「雪愛……」
僕はベッドに腰かけ、雪愛の柔らかな黒髪を撫でた。
…今だけ変態行為、許してください。
雪愛のことは、本当に好きだ。
ううん、好きだなんて言葉じゃフォローできない。
愛しているなんて言葉で、カバー出来ない。
“好き”とか、“愛している”と言う言葉以上なんだ、僕の雪愛への愛は。
例え今世界が壊れても。
例え今世界中が僕らの敵に回ったとしても。
僕は雪愛を愛していると誓えるし、雪愛の味方でいようと言える。
雪愛が僕を殺そうとするのなら喜んで殺されるし。
雪愛が僕に自殺しろと言うのならすぐさま自殺するし。
雪愛に生きろと言われたら他人を犠牲にしてまで生きる。
もし目の前から雪愛が何者かによって殺されたのなら。
僕は本能のまま、雪愛を殺した犯人を殺しに行くだろう。
僕は、いずれこの家を継ぐ役目がある。
だからそう簡単に死ぬなと、言われ育ってきたけど。
雪愛がいない世界なんて、そんなものイラナイ。
いるのは、雪愛が存在する世界だ。
雪愛なしでは、生きて行けない。
どうして僕はここまで、彼女を愛してしまったのだろうか?