さぁ、オレと恋をしてみようか
〝会いにきて〟は命令っぽいし、それこそ相手のことを考えてない、ただのワガママだ。


「そっか…。剛史さん、ありがとうございますっ。わたし、言ってみますね」
「うん。でもさ……」


わたしの家が見えてきた頃、剛史さんが足を止めた。


不思議に思って剛史さんを見ると、クシャっと目尻を下げた。


「お父さん、手強そうだよね…」
「えっ!?」


そして剛史さんは家の方向を、指差した。


「…あ、お父さん!また、外で待ってる…」


あれだけ言ったはずなのに、また今日も待ってるよ…。


いったい何時から、外にいたんだか…。


わたしたちの姿を見たお父さんは、なぜか慌てて、わたしたちの前から姿を消した。


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