さぁ、オレと恋をしてみようか
目の前の男性に声をかけられ、何度もペコペコ頭を下げた。


「いやっ!頭、上げて?てか、あまり見ない顔だよね?」


彼は、慌てた様子で、わたしの顔を覗き込んだ。


その声に、少し顔を上げる。そして、彼の質問に答えた。


「あ…わたし、高校生の時は、たまに利用してたんです。でも、卒業してからは、来てなくて…」
「あー、そうなんだ。じゃあ、ボクが働く前だ」
「えっとー、わたしが来てた時は、おじさんとおばさんでした」
「うん、それね。ボクの両親」
「えっ!?」


りょ、両親!?じゃあ、息子……ってことか。


あれ?でも、じゃあ。おじさんとおばさんは、どうしたんだろう?


引退したのかな…?いや、でもそんなことあまり聞くもんじゃないよね。


やめよう、余計なことを考えるのは。


「ご両親かぁ…。そうだったんですね。わたし2年振りに来たんですけど、あまり変わってないですね。すごく、懐かしい!」


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