ダイコク
ヤカミヒメ
ヤチホコには、八十八人もの義兄弟がいた。ヤチホコは末っ子だ。ヤチホコの兄弟たちは、荒くれ者で乱暴だが武術にたけ、そして、とても仲が良かった。父親が子どもたちをよくまとめて、とても大切に育てていたからだと思う。
子犬のようにじゃれあいながら、鍛え上げ、切磋琢磨し、どの子も無事に、少年から大人の男へとすくすくと成長するさまが微笑ましかった。
ヤチホコもモリヒトも、一目ではこの兄弟の中に馴染んでいるようにも見えた。
でも、ヤチホコもモリヒトも、他の兄弟たちからすれば、少しかわっていた。誰も口にはしなかったが、二人が時々他の兄弟と違うことをしていると、みんな知っていた。
ヤチホコは、天真爛漫で健康だが、他の兄弟とちがって、黒目がちなあまりに可愛らしい顔立ちの子どもであった。あまり真面目に武芸にいそしむようにも見られなかった。実は、殴ることも蹴ることも嫌いなのだ。
そして、モリヒトは、実は左脚が悪かった。このことは、モリヒトと父親の他には秘密にされていたが、武芸の稽古となると、体をいたわり抜けなければならないことも多かった。幼い子供というのは残酷な生き物。武芸の稽古となると、弱いところを狙われる。だから、父親はモリヒトを思ってモリヒトのあしのことをひた隠しにしたのだ。
父親は、モリヒトが弱音を吐いたり同情をひいたりするようなことは許さず、ただ、小さな弟たちのめんどうを見るように言い付けた。さりげなく稽古から外したわけだ。だから、周りは、モリヒトの脚が四六時中じくじくと痛み、切り落としてしまいたいほどにモリヒトを苦しめていることを知らなかった。みんな、ただ、モリヒトは稽古から外されているとしか思わなかった。
ちょっと兄弟たちについて行ききれず、幼いヤチホコとモリヒトは、とても仲良くなった。
ヤチホコは、面倒見がよいモリヒトが大好き。モリヒトもまた、明るく愉快で可愛らしいヤチホコを一番可愛がっていたのだと思う。
いろいろありながらも、みな、仲の良い兄弟だった。だから、、まさかこの兄弟が憎しみあうようなことになるなど、誰も考えたりしなかった。まさか。。
子犬のようにじゃれあいながら、鍛え上げ、切磋琢磨し、どの子も無事に、少年から大人の男へとすくすくと成長するさまが微笑ましかった。
ヤチホコもモリヒトも、一目ではこの兄弟の中に馴染んでいるようにも見えた。
でも、ヤチホコもモリヒトも、他の兄弟たちからすれば、少しかわっていた。誰も口にはしなかったが、二人が時々他の兄弟と違うことをしていると、みんな知っていた。
ヤチホコは、天真爛漫で健康だが、他の兄弟とちがって、黒目がちなあまりに可愛らしい顔立ちの子どもであった。あまり真面目に武芸にいそしむようにも見られなかった。実は、殴ることも蹴ることも嫌いなのだ。
そして、モリヒトは、実は左脚が悪かった。このことは、モリヒトと父親の他には秘密にされていたが、武芸の稽古となると、体をいたわり抜けなければならないことも多かった。幼い子供というのは残酷な生き物。武芸の稽古となると、弱いところを狙われる。だから、父親はモリヒトを思ってモリヒトのあしのことをひた隠しにしたのだ。
父親は、モリヒトが弱音を吐いたり同情をひいたりするようなことは許さず、ただ、小さな弟たちのめんどうを見るように言い付けた。さりげなく稽古から外したわけだ。だから、周りは、モリヒトの脚が四六時中じくじくと痛み、切り落としてしまいたいほどにモリヒトを苦しめていることを知らなかった。みんな、ただ、モリヒトは稽古から外されているとしか思わなかった。
ちょっと兄弟たちについて行ききれず、幼いヤチホコとモリヒトは、とても仲良くなった。
ヤチホコは、面倒見がよいモリヒトが大好き。モリヒトもまた、明るく愉快で可愛らしいヤチホコを一番可愛がっていたのだと思う。
いろいろありながらも、みな、仲の良い兄弟だった。だから、、まさかこの兄弟が憎しみあうようなことになるなど、誰も考えたりしなかった。まさか。。