ダイコク
アタリは、珍しくスッキリと目を覚ました。
腕の中に、ふわふわと綿毛のような白い女がある。暖かい。触れると、絹のような滑らかなさわり心地がする。
アタリは、アタリは、逃すまいとウサギの身体を捕らえた。
ウサギも、目を覚ました。
ウサギは、少しの間だけ身体を固くしたが、、そのあと、諦めたように身体の力を抜いた。そして、
アタリの身体に身を寄せて囁いた。
「貴方様は、本当にしつこいお方。追い回されることにも疲れはてました。」
アタリは、何だか胸をくすぐられたような気がした。どうにも恥ずかしくなって、咳払いをひとつ。ウサギを捕まえた手を緩めた。
ウサギは、逃れるかと思いきや、アタリの方に向き直って、アタリの顔を真っ直ぐに見つめた。
「私は、もう、逃げも隠れもいたしませぬ。お好きなようになさいまし。」
アタリは、面食らった。
「その、、」ウサギは、アタリの身体の下に潜り込むように、もう一度身を寄せる。
「でも、、本当は、痛いのも傷になるのも嫌でございます。」
アタリは、胸に痛みを覚えた。
「打たれても強く握られても嫌でございます。」
ウサギの声は、だんだん小さくなる。
居直ってみたものの、恐ろしくなって来たのだろう。
アタリは、ふと尋ねる。
「女陰は、痛まないか?女陰の傷は??」
アタリが、人の身体を気遣うなど、何年ぶりのことだろうか。。否、、産まれて初めてやもしれぬ。
ウサギの女陰は、それほどにまで、アタリの心に鮮明に焼き付いた。
アタリが柔らかい表情を浮かべていたので、ウサギは、少しばかりホッとした。
「、、。」
その、、
「女陰から溢れたのは、血ではございませぬ。痛みは有りませぬゆえ、ご心配はいりませぬ。」ウサギは、恥ずかしくて、目を伏せた。
(女陰は、女陰は、ただ、熟れておりました。)とは、さすがに言えなかった。
ソネミは、浜辺の小屋を覗き、思わず目を背けた。
血まみれ。切れた女の口のハシからも、割られた足の間からも、そこらじゅうに血の匂いが香ったように思えた。
ソネミは、兄者が、また女を伐ったのかと思った。(弔ってやらねばなるまい。)
兄者を帰し、後始末をしなければ。。
気が重くてならない。
やむおえず、もう一度小屋を覗いて、、ソネミは、首をかしげた。
ソネミが顔を背けた一瞬の間に、血の匂いは消えていた。目がおかしくなったのだろうか、。
兄者は、雪のように肌が白い、綺麗な女を抱いているようにも見えたし、何やらふわふわとした小さな生き物を愛でているようにも見えた。
ソネミは、兄者とそのあやかしが、何やら言葉を交わしたあと、愛しい者同士がするように、抱き合って、1つの衣にくるまるのを見た。
(兄者の奴、とうとう妖怪にとりつかれてしまった。。)
ソネミは、心の中で呟いた。
ホッとした心持ちだった。
夜な夜な女が伐られるより、どれだけマシな話か。
潮の香りが強くなった。
ヤチホコは、どうしているだろう。
ソネミは、兄者には口出しせずに、家族の元へと帰ることにした。
腕の中に、ふわふわと綿毛のような白い女がある。暖かい。触れると、絹のような滑らかなさわり心地がする。
アタリは、アタリは、逃すまいとウサギの身体を捕らえた。
ウサギも、目を覚ました。
ウサギは、少しの間だけ身体を固くしたが、、そのあと、諦めたように身体の力を抜いた。そして、
アタリの身体に身を寄せて囁いた。
「貴方様は、本当にしつこいお方。追い回されることにも疲れはてました。」
アタリは、何だか胸をくすぐられたような気がした。どうにも恥ずかしくなって、咳払いをひとつ。ウサギを捕まえた手を緩めた。
ウサギは、逃れるかと思いきや、アタリの方に向き直って、アタリの顔を真っ直ぐに見つめた。
「私は、もう、逃げも隠れもいたしませぬ。お好きなようになさいまし。」
アタリは、面食らった。
「その、、」ウサギは、アタリの身体の下に潜り込むように、もう一度身を寄せる。
「でも、、本当は、痛いのも傷になるのも嫌でございます。」
アタリは、胸に痛みを覚えた。
「打たれても強く握られても嫌でございます。」
ウサギの声は、だんだん小さくなる。
居直ってみたものの、恐ろしくなって来たのだろう。
アタリは、ふと尋ねる。
「女陰は、痛まないか?女陰の傷は??」
アタリが、人の身体を気遣うなど、何年ぶりのことだろうか。。否、、産まれて初めてやもしれぬ。
ウサギの女陰は、それほどにまで、アタリの心に鮮明に焼き付いた。
アタリが柔らかい表情を浮かべていたので、ウサギは、少しばかりホッとした。
「、、。」
その、、
「女陰から溢れたのは、血ではございませぬ。痛みは有りませぬゆえ、ご心配はいりませぬ。」ウサギは、恥ずかしくて、目を伏せた。
(女陰は、女陰は、ただ、熟れておりました。)とは、さすがに言えなかった。
ソネミは、浜辺の小屋を覗き、思わず目を背けた。
血まみれ。切れた女の口のハシからも、割られた足の間からも、そこらじゅうに血の匂いが香ったように思えた。
ソネミは、兄者が、また女を伐ったのかと思った。(弔ってやらねばなるまい。)
兄者を帰し、後始末をしなければ。。
気が重くてならない。
やむおえず、もう一度小屋を覗いて、、ソネミは、首をかしげた。
ソネミが顔を背けた一瞬の間に、血の匂いは消えていた。目がおかしくなったのだろうか、。
兄者は、雪のように肌が白い、綺麗な女を抱いているようにも見えたし、何やらふわふわとした小さな生き物を愛でているようにも見えた。
ソネミは、兄者とそのあやかしが、何やら言葉を交わしたあと、愛しい者同士がするように、抱き合って、1つの衣にくるまるのを見た。
(兄者の奴、とうとう妖怪にとりつかれてしまった。。)
ソネミは、心の中で呟いた。
ホッとした心持ちだった。
夜な夜な女が伐られるより、どれだけマシな話か。
潮の香りが強くなった。
ヤチホコは、どうしているだろう。
ソネミは、兄者には口出しせずに、家族の元へと帰ることにした。