ダイコク
ヤカミヒメが胸に抱いていたウサギだが、これは、ヤカミヒメが住む因幡の国から海を隔てた隠岐の島の娘だった。
実は、ウサギではない。
色の白い赤い目の娘。髪の毛まで真っ白で、生まれたときから、何か意味のある娘なのだということは、皆が知っていた。
神々しく、それはそれは美しかった。
しかし、幸せではなかった。
島の男たちの好奇の的になってしまったのだ。色の他、体は普通の女だ。女なのだ。そして、その肌や髪のいろのせいで、女として愛されなかった。
両親は思い悩み、娘をヤカミヒメに侍女として献上した。
ヤカミヒメは、この娘をどう護るか頭を悩ませ、考え抜いた末に、ウサギに変えて側においた。他の侍女に理解されまい。
< 4 / 38 >

この作品をシェア

pagetop