私の好きな人は親友の好きな人
2人で教室に入ると、紫穂が自分の席で本を読んでいた。
窓側の席で1人ぽつんと座って本を読んでいる紫穂。
なんだか昔のあたしを見ているようで、胸がきゅうっと締め付けられた。
「紫穂、おはよ!」
「おはよーさん」
あたしと裕也が自分の席にカバンを置きながらそう言うと、
紫穂の顔がぱあっと明るくなり、可愛い声で、
「美来、裕也、おはよう!」
と、そう言った。
…可愛い。
さっきまで少し寂しそうな顔してたのに
あたしと裕也がきたら、急に顔が明るくなるんだもん。
「なんの本読んでたの?」
あたしがそう聞くともってた本のブックカバーを外す紫穂。
花柄の色鮮やかなブックカバーだった。
紫穂らしい、黄色やオレンジ色が中心のブックカバー。
なんか、本にブックカバーつけてるところとかすごい女の子。
これが女子力の差か…