全てを包んで
そう言うと、課長はオードブルや乾き物を出して並べ始めた。

私と片瀬さんもそれに続く。


しばらくして、仕事を終わらせた会社の面々が集まり出した。

各々がブルーシートに座り、そろそろお花見がスタートする頃、社長が現れた。

「皆さん、お疲れ様。こんな大きな桜の木の下でお花見が出来るなんて、今年の幹事は優秀だなっ。」

そう言ってガハハとお馴染みの笑い方でご機嫌な様子だ。

「あ〜、良かった…。」

と心からホッとした様に片瀬さんが呟いた。

ようやくボーズの恐怖から解放されたようだ。

最初からそんな事は無いとは思うけど。

その後、社長から短めの挨拶があって、お花見という名の宴会がスタートした。

皆桜を見上げながらワイワイと楽しく飲んでいる。

宴会が始まってしばらくした頃、片瀬さんから声をかけられた。

「今泉、結城さんいないみたいだけどどうしたの?」



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