全てを包んで
「それに、ここは意外と料理も美味しいんだよ。」

そうなんだ、と思っていると、

「意外は余計だろうが。珍しく女なんか連れて来るからサービスしてやろうと思ったけど、やめだ。帰れ帰れ。」

と、カウンターの中のいた店員さんが声をかけてきた。

「雅人、お客さん連れて来た奴にそんな言い方はないだろう。」

課長は苦笑しながらそう言った。

雅人と呼ばれた店員さんは課長の方をジロッと見て、

「お前が意外とか失礼なこと言うからだろうが。」

そう文句を言いながらお絞りを出してくれた。

「あっ、ありがとうございます。」

私はお礼を言ってお絞りを受け取った。

お絞りで手を拭きながら顔を上げると、雅人さんと目があった。

さっきから思っていたけど、ちょっと、…いや、だいぶ目つきが怖い。

その目に見つめられて思わず固まってしまった。

まるで蛇に睨まれた蛙状態だ。






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