全てを包んで
「雅人、彼女が怖がってるからあんまりジロジロ見るな。」

課長がそんな事を言ったので、雅人さんの表情が更に怖くなった気がする。

「あぁ〜?」

…確実に怖くなった。

「飲むもの決まった?」

そんな雅人さんを全く気にする事なく私に飲み物を聞いてきた。

目の前のお兄さんが怖くて、飲み物の事を考える余裕なんて無かったんですけど…。

私は慌ててメニューを見て、前から飲んでみたかった焼酎が目に入ったので、それを頼む事にした。

「あの、これにします。」

課長はメニューを見た後、

「雅人、この焼酎2つ。」

と注文してくれた。

「チッ。…飲み方は?」

…今、確実にチッて言いましたよね。

「俺はロックで。今泉さんはどうする?」

課長は雅人さんの舌打ちを全くに気にした様子はない。

慣れてるみたいだけど、これを気にしないってすごいな。

「…私もロックでお願いします。」



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