全てを包んで
「勉強とバイトばかりしていた気がします。」

そう言いながら、学生時代を思い返す。

あの頃を思い出すと、苦い恋愛の思い出も一緒に蘇ってきて少し気持ちが沈んでしまう。

「恋愛とかはしてなかったの?」

丁度思い出していたタイミングで課長に聞かれてしまった。

「してましたよ〜。あまり良い思いでじゃないんですけどね〜。」

明るめに言ったつもりだったけど、表情は上手に誤魔化せた気がしない。

「そっか。色々とあったみたいだね。」

課長はそれ以上は聞かずにいてくれた。

「課長はどうだったんですか?モテてたんじゃないんですかぁ?」

雰囲気的に何か話さなくては気まずいと思い、課長に話を振った。

「………そんなこともない。」

何か、気になる間があったんですけど。

「え〜、本当ですか?」

絶対にモテてると思うんだけどなぁ。

このイケメンがほっとかれる訳がない。






< 45 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop