全てを包んで
「嘘ついてんじゃねぇよ。お前は嫌味なくらいモテてただろ。」

雅人さんがそう言ったのを聞いて、あぁやっぱり、とすんなり納得した。

「俺はモテてたつもりはない。それに、好きでもない子にいくらモテたって仕方が無いだろ。」

そんな台詞1度で良いから言ってみたい…。

「その台詞がサラッと言えるあたりがムカつくんだよ。」

雅人さん、その気持ちは少しだけわかる気がします。

「雅人みたいに、好きな子と付き合って、ちゃんと一緒になれてる方が良いだろ。」

ん?一緒にって…

「雅人さん、もしかして結婚されてるんですか?」

「もしかしては余計だ。」

「………。」

「驚いた顔のまま黙るんじゃねぇよ。」

「すみません。」

あの怖い目で睨まれたのでとりあえず直ぐに謝っておいた。

「今は一緒になれてるけど、あいつは最初、秋夜に惚れてたからなぁ。」

タバコに火をつけながら雅人さんが言った。



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