さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉

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程なくして、4限が終わる。
待ちに待った昼飯の時間だ。

チャイムと共に立ち上がる夏希。


「行こう!人気弁当争奪戦だ!」

「俺パンでいいわ。」

「俺はお弁当持ってきてるから。」

「つれないなぁー!」


俺たちの返事を聞いて、
大急ぎで美術室を出ていく夏希。

待ち合わせ場所は中庭。
いつも昼はそこで過ごしている。


「じゃ、先に行こうか。」

「てか、ポスター作りいいの?」

「途中で抜けさせてもらうかもだけど。」

「ん、わかった。」


階段を降りる最中、
男子カップルを発見した。

意識してみると、結構いるもんなのか。

手を繋いで…っていうのはないけど、
なんとなく雰囲気でわかる。


「翔ちゃん、うらやましいの?」

「え、いや。そういうわけじゃねーけど。」

「試しに手繋いでみようか?」

「ちょ、えぇ…。」


予想外のセリフに、否定する間もなく
ぎゅっと手を握られる。

いわゆる、恋人繋ぎってやつだ。

おい、みんな見てるって!


「どう?」

「………。」


不覚にも、ちょっとドキドキしてしまって。

周りから見れば、生徒会長と茶髪のサボりが
手を繋いでいる異様な光景。

後輩が自然を装って
口笛を吹きながら目を背けていく。

中には頑張れよ、と言わんばかりに
ウインクをしてくる者も…。

違う!違うからな!!


「あの、もう…大丈夫です…。」

「はいはーい。」


自分で言っておきながら、
一体なにが大丈夫なんだろう。

手が、まだ温かい…。



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