さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉
「翔ちゃんは照れ屋だね。」
「これは…驚いただけだよ…!」
変な汗が出る。たぶん顔も赤い。
気付けば、もう中庭の
出入り口まで辿り着いていた。
早速、陰のベンチに腰掛けて
俺はパン、裕太は弁当をいただく。
喉が乾いていたことを思い出して、
少し離れた自販機で飲み物を選んでいたら
後ろから夏希の声がした。
「やった!人気の弁当手に入れた!」
「3年目にしてやっと5回目だな。」
「もうテンション上がる上がる!」
嬉しそうな夏希に
祝い代わりのジュースを投げ渡し、
裕太の待つベンチに戻る。
その弁当が人気すぎる理由は、
税込300円で高級和牛が食えるから。
あり得ないだろ?
新入生の争奪戦参加は
競争率が大変なことになってしまうため、
入学後半年たってからが条件。
それほど価値のあるものだ。
そんな人気の弁当を勝ち取った夏希。
ますますうるさくなりそう。
「お、なっちゃんおめでと!」
「さんきゅーっ!」
「なつって運良いよな。」
「翔とゆうにも分けてやりたいぜー!」
「なんか腹立つ。」
夏希は笑いながら
豪華な和牛弁当を食べ始める。
くそ。少しだけうらやましい。
「あ、さっき聞いたんだが。」
「なに。」
「どうしたの?」
「お前ら、手繋いでたらしいなー!?」
おい!誰だよ言ったやつは!!
弁当のこと以上に
にやにやしながら言われて、
二人同時に頭を抱える。
「あれはちょっとした出来心で…。」
「翔ちゃんが試してみたいって。」
「裕太が勝手に繋いできたんだろ!」
「でも、顔は真っ赤だったよね~。」
「うっ…。」
少しだけときめきました!
なんて、もちろん言えるはずもなく。
黙ってパンを握りつぶした俺をみて、
夏希も突っ掛かってくる。
「じゃあ、俺とも繋いでみる?」
「!?」
何が「じゃあ」だよ!
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