さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉




「なっ、なんでそうなる!」

「えー、俺も混ざりたいじゃーん。」


こいつの思考回路はどうなってんだ!

助けを求めて、裕太にアイコンタクトを送るが。

そこへタイミングよく、
生徒会の後輩がやって来た。


「会長!やっと見つけました!」

「いけない!まだ仕事があったんだ!」


ごめんねー、と手をヒラヒラさせながら
軽やかに去っていってしまった。

中庭には、俺と夏希。
そして数名の男子生徒たち。


「ほら!手貸して。」

「のわっ!?」


無理やり掴んできた
夏希の手はひんやりしていて。

驚いて、椅子から転げ落ちそうになる。

食べかけのパンは、
残念ながら地面に落下した。


「おい!落ちたじゃねーか!」

「ごめんごめん。」


ヘラヘラ笑いやがって。
まだ半分と少ししか食ってなかったのに。

それを見ていた蟻が、落ちたパンに寄ってくる。


「蟻さんもお昼かなー。」

「俺もお昼の予定だったんだが?」

「いいよ、俺の分けてやる!」

「分けるって、箸持ってねーから。」


ふふん、と笑う夏希。

しまった。地雷を踏んでしまった。

手を握られながら、
夏希は箸で俺の分を取り分けて。

それを。


「はい!あーん!」

「えっ」

「カップル疑似体験だぜ!」


まさかとは思ったが、
案の定そう来られてしまった。

人生初の高級和牛を、
同性の「あーん」で迎えるなんて
誰が想像しただろうか…。

チラチラと周りの生徒も気にし始める。

さっき、裕太と手を繋いだ時より
遥かにレベルが上がってるじゃねーか。



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