さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉




時間がかかるだろうと、
携帯ゲームで暇を潰そうとしたが。

2分もしない内に、会長さんは帰ってきた。


「さて、翔ちゃんは俺と勉強ね!」

「は…?」

「特別に許可貰った。むしろ先生も喜んでたよ。」


状況が掴めないまま、
生徒会室に誘導されて入る。

綺麗に整えられた椅子や机に、
埃ひとつ落ちていない床。

裕太を呼びに来るときに
この部屋を覗いたことはあったが、
入るのは初めてかもしれない。

ホワイトボードには今年の行事とか、
必要事項なんかが書いてあって…。

ここで、5限開始のチャイムが鳴った。


「裕太も色々大変そうだな。」

「全然。俺が好きでやってるんだし。」


もうひとつの真っ白なボードを、
俺の座る机の前に引いてきて。

どこから持ってきたのか
裕太は眼鏡をクイッと直した。


「さて、それでは英語の授業を始めます。」

「マジですか…。」

「わかりやすいように工夫するから!」

「さんきゅー…。」

「はい!それも英語ですね!」

「おう…。」



こんな調子で、裕太会長の授業が始まった。

なんでも、担任に相談してくれたらしい。

ずば抜けて頭の良い会長は、
俺と幼馴染みということもあって
先生も大歓迎だったとか。

当たり障りなく過ごしてきた1年目、
なんとか退学にはならなかった。

2年目はさすがに危なかったが、
大事なテスト前には二人がついてくれて、
なんとか赤点は免れた。

それの大半は裕太のおかげだ。


「まずはここまで。OKですか?」

「なんとか…。」

「まだ行けますね。」

「すこしだけがんばる…。」

「よし!」


普段は大嫌いな勉強だが、
気合いを入れ直して
もう少しだけ頑張ることにした。


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