さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉
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「先生…疲れたんすけど…。」
「もう?まだ10分残ってるよ。」
俺のペースで進んでくれたおかげで、
時間はかかるが大文字は結構覚えてきた。
小文字はやっぱり苦手だ。
裕太はこんな頭の弱い俺を、
怒ることも急かすこともなく待ってくれる。
久々の授業で、頭が痛い。
「翔ちゃん字は汚いけど
英文はわりと綺麗なんだよねぇ。」
「おいなんか言ったか?」
「なんでもないです!」
改めて見返すと、確かに俺の字はひどい。
せいぜい、綺麗に書けるとしたら
自分の名前くらいか。
それでもたまに「睦月」をど忘れするけど。
「また機会があれば日本史辺りやろうか。」
「わかった…。」
「もちろん他の教科でもいいよ。
勉強したい科目があれば教えてね。」
5限終了のチャイム。
長かったような短かったような。
宣言通り、授業は大変わかりやすかった。
優男にもほどがあるだろう。
悪いやつに利用されるんじゃないかと
いつも心配してしまうほどだ。
「じゃ、6限は地学だから出るね。」
「おう、ありがとな。」
究極の優男は、次に備えて歩いていった。
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