さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉
「そうだ。覚えてる?」
「なにを?」
「小学四年の時だったかな。
大人になったら一緒に住もうって。」
「あー、言ってたな。」
まだルームシェアなんて言葉も
知らなかった頃に交わした約束だ。
とっくに忘れてしまっていて、
今改めて思い出した。
夏希はずっと覚えてたんだな。
「俺の気持ちは今も変わってないよ。
翔とゆうがいれば無敵だぜ!」
「やめろよ、照れる。」
「翔!お前ってやつはあああ!」
また抱きつこうとしてくる夏希を
今度は華麗に交わしてやった。
「痛い!」
「知らねー。」
照れ隠しに蹴り飛ばす。
大学や就活が落ち着いたらになるだろうけど、
ルームシェア、良い提案かもしれないな。
夏希が起き上がり、隣に座り直す。
「ゆうは何て言うかな。」
「ルームシェア?」
「そう。あいつ夢あるだろ?」
「研究の道とかなんとか聞いたな…。」
「頭良いからなー。」
もしかしたら、あの天才大学に入るかも。
その可能性は否めない。
距離的には会いに行けるが、仮にそうなると
共に過ごす時間が減ってしまうのは目に見えている。
「それでも俺は裕太の夢を優先する。」
「わかってる!俺もだし!」
笑いながら言ってるけど、
やっぱり寂しいよな。俺も寂しい。
親友通り越して家族みたいなもんだから。
「さて!そろそろ終わる!」
「ん、行くか。」
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