さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉
「あ!そうだ。ゆう覚えてる?
昔の話なんだけどー…」
「待って。ヒントだけ言って。」
「ショータイムだな!」
始まった。
不定期開催《クイズ、夏希のショータイム!》
タイトルは中学時代に本人が付けたものだ。
裕太はクイズやカードゲームなどの
頭を使う遊びが大好きだ。
だから、ちょっとだけ面倒くさい。
「ヒント1、小学生の時に!」
「ほう…。」
「ヒント2、三人で約束した?」
「……わかった。」
バチン!と大きな音を立てて机を叩く。
回答ボタンを押したつもりなんだろうけど、
客も俺も驚いて肩を震わせた。
裕太は気にも止めず、
いつものように眼鏡をクイッと直して。
「はい、ルームシェア!」
「正解。さすがー!」
景品です、なんて言いながら
100円を渡す夏希。
なんか、学生らしいな。
見事正解した眼鏡は、
ハンバーガーを食べてご満悦。
「翔ちゃんは覚えてた?」
「忘れてた。」
「はは、そりゃそうだよ!
俺もなっちゃんのヒントで思い出した。」
「だよな。なつの記憶力やべー。」
「我らの夏希さまは仲間想いだからな!?」
「自分で言う!?」
裕太の突っ込みに笑いが込み上げる。
この振る舞いを見れば、
まさか彼が生徒会長だなんて
誰も想像できないだろう。
俺と夏希に心を開いてくれている証だ。
「まぁでも、間違ってはないよな?」
「だろー?」
「翔ちゃんも根は優しいよね!」
「おい、根はってなんだよ!」
こうやって過ごしていると、
あっという間に時間が過ぎていくものだ。
時計が狂ったんじゃないかと思うほどに。
学校はあんなに長かったのに、
つくづく不思議だと思う。
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