さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉
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「よう、眼鏡に甘党。」
「翔ちゃん!おはよう!」
「はよー…。」
駅に着くと、既に二人は
目印になる銅像前で待っていた。
出会い早々、大きなあくびをする夏希。
目覚ましになるだろうと、
背中を思いっきり叩いてやった。
「いってええええ!」
「目覚めたか。」
「翔は今日も残酷だなー!」
そんな会話をしながらホームへ。
頻繁に出入りしているから、
一、二本電車を乗り過ごしても
支障はないんだけどな。
売店で飲み物を買っていく。
今日も日差しが強い。
「制服とか暑くてやってらんねーな。」
「着崩しは校則違反!」
「ゆう堅すぎ!」
人の多い電車に乗り込み、
学校近くの駅まで揺られる。
席に座れることなんて滅多にない。
ましてや、こちらは男子高校生。
優先すべき人は、他にたくさんいる。
乗客はイヤホンで音楽を聴いていたり
携帯ゲームをしていたりと様々。
それにしても、暑苦しい。
「あっつ…。」
「はいはーい。」
夏希が教科書を使って扇いでくれる。
とはいえ、満員だからな。
当然ながら涼しい風はこない。
「下敷きは?」
「あー、持ってないな。」
裕太の提案も虚しく、
暑苦しいまま駅に到着した。
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