さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉
「それなら兄貴に頼む!」
「お前に兄貴なんていたか?」
「あー、近くのカツ屋の知り合いだよ。」
知る人ぞ知る裏路地に、
そんな店あったような無かったような。
どっちにしろ、頼んでもらえるなら助かる。
て言うか、そもそも行きたくはないんだが。
「連絡してみるわー。」
「その兄貴って歳上?」
「大学生。」
「講義中だったらまずいだろ。」
「ほんとだ!」
「夕方くらいでいいんじゃねーの?」
結局、学校終わりに
直接カツ屋へ行くことで意見が一致する。
懐中電灯もなしで踏み込むのか?
俺だったら、撮影に使われるような
クソ明るい照明を持っていきたいくらいだ。
いくらなんでも無鉄砲すぎる。
夏希なら、いつだってやりかねないが。
「ゆうはOKしてくれるかなー?」
「知らね。不法侵入だからな。」
「もし断られたら…二人きりに!?」
目を輝かせて振り向く夏希。
なんだよ、その顔は。
「三人揃わねーなら辞める。」
「わかってるし!」
「あとカツ屋の兄さんの都合にもよる。」
「はーい、王様には逆らいません!」
「は!?」
王様ってなんだよ!
そんな俺の叫びに、夏希は笑うだけで
なにも答えてくれなかった。
そんなに俺ってわがままか?
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