さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉
 



ギギ、と 重い扉の音が聞こえる。

二人同時に入り口を見やった。


きっと裕太だろう、と思ったが
冷静に考えてみると
彼が屋上に上がったことは一度もない。

ひどく嫌な予感がして、
勉強道具を鞄に押し込み入り口の裏へ回った。


「だれ?」

「担任か?」


見つかったらどうなるかって?
恐らく退学の域だろう。

最近、屋上でふざけていた生徒が
転落してしまう事故があった。

幸い、植木のおかげで死には至らなかったが
頑丈な施錠が取り付けられたところだ。

まさか俺が外せるなんて思わねーだろ。



息を殺して、やり過ごす。



担任と思われる人物は、
しばらく辺りを見渡して扉を閉じた。

足音が遠ざかってほっとする。


「あぁあ!怖かった!!」

「怖いってか、鍵大丈夫かよ!」

「たしかに!!」


慌てて扉を開こうとするも、
案の定、鍵を閉められてしまっていた。

ヤバい、これは緊急事態だ…。




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