さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉
「なつ、携帯は?」
「ロッカーの奥底に眠ってる!」
「持ち歩けよ!」
「そういう翔は?」
「俺のは物理室で充電中…。」
「ぶつりしつ!?」
充電してきてなかったんだよ…。
俺がそう呟くと、夏希もいよいよ焦りだす。
物理室は二階だ。
三階ならなんとかなりそうだったが。
これじゃ裕太に連絡さえ出来ない。
頭を抱える俺たちの気も知らず、
3限の開始を知らせるチャイムが鳴った。
「どうすんだよ…。」
「伝書鳩さえいれば…。」
「何時代だよ。仮にいても今は授業中だろ。」
「わぁ、ほんとだぁ…。」
こう言うときは、頭の良いやつが
何か閃いてくれるもんだと思っていたが、
残念ながら夏希は馬鹿だった。
気休めだが、とりあえず日陰で涼むことにした。
「男女なら最高に興奮する
シチュエーションなんだろうなー…。」
「ここ男子校だからな…。」
次第にお互いの口数が減っていく。
夏希は手持ちの消しゴムを並べて
ドミノを作り出す始末。
なんでそんなに持ち歩いてるんだよ。
とりあえず、何でもいいから
思い付いてくれないか…。
「あっ」
「!」
夏希が紙に地図を書き出す。
屋上の俺ら、そして。
「翔!良いこと考えた!」
「なに?」
「消しゴムを投げ入れるんだよ!」
「どこに?」
「生徒会室。三階で、ちょうどこの真下だ。」
「すげえ!おまえ頭良いな!!」
.