さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉
夏希はフェンスを乗り越えて、
危険だが、その下を指差した。
3限が終われば、裕太が来るかもしれない!
それがなくとも、4限のあとは昼。
嫌でも気が付くはずだ。
「それで、手持ちの消しゴムは?」
「5個。ほぼ新品だから文字書きやすい!」
ついでに筆箱を漁ると、
細い油性ペンも出てくる。
完璧すぎるじゃねーか!
「俺がぶん投げるから、翔が文字書いて!」
「大丈夫なのか?」
「なめんな!元野球少年だぜ!」
そうだ。夏希には野球少年の腕がある。
安心して任せられそうだ。
俺はペンを取り、新品同様の消しゴムに
《屋上出られん、開けてくれ!》
そう書いて夏希に手渡した。
「いいか?貴重な一投だぞ…。」
「とりあえず落ちんなよ。」
「わかってる。しかも消しゴム落として
先生に拾われたら終わりだし。」
「授業中の教室に落ちるのもまずい…。」
つまり、ストックがいくつあろうと
これは一回限りの挑戦というわけだ。
久々の緊張感、なんというか、
わくわくしている俺たち。
仕掛けた罠にザリガニが入っているか、
それを確認するまでの、あの感じがよみがえる。
「いざ!生徒会室のベランダへ!」
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