さぼり男子とチョコと眼鏡と。〈BL〉
*【裕太side】
今日も1限目から、翔ちゃんの姿はなかった。
いつものことだから、
今さら担任も気にすることはない。
ちゃんと勉強しなきゃ駄目なのになぁ…。
そんなことを考えながら。
3限の授業を終えた俺は、
少しでもポスターを完成に近づけるため、
生徒会室に向かっていた。
「あ!会長!」
「ん?どうしたの?」
「物理室に睦月先輩の携帯がありました!」
「翔ちゃんの?」
生徒会の後輩が、翔ちゃんの携帯を持ってきた。
学校で充電するなんて荒いなぁ。
ということは、その辺にいるんだろうか。
それを受け取り、部屋に入る。
「おはようございます!」
「おはよ。早速取りかかろうか。」
なんとなく、ベランダの方を見る。
今日も良い天気だ。
屋上は暑すぎるくらいなんじゃないかな。
「……ん?」
ふと目についたのは、
落ちていたひとつの消しゴム。
まだ新しい。
ここは3階、生徒会室だ。
鍵を持っているのは自分と一人の後輩だけ。
下からイタズラで投げ入れようにも、
立地的に不可能なはずだ。
外に出て、確かめる。
《屋上出られん、開けてくれ!》
この汚い字はもしかして。
確認なんていらないくらいだけど、一応。
裏の面には《しょー》の文字。
「やっぱりか…。」
「どうかされたんです?」
「ちょっと、先にやってて!」
部屋を飛び出し、
本当は走りたいくらいだったが、
急ぎ足で屋上に向かった。
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