地味優等生→リアルシンデレラ ～みつけてください王子さま～

　そのタキシード姿に、周りの女の子の目もくぎ付けで、まるで本物の王子さまみたいに彼だけがキラキラして見える。

　そうして、教室の前で止まった馬車。馬役の二人はゼーハー息を切らしてへたれ込んだ。そこに馬車から下りた洸君が彼等を気遣うように側に寄る。

　すると、そこへ……ピンクのフリルが幾重に重なったドレスを纏った、田原さんも下りてきた。

　缶ジュースを握る手に力が入る。

　タキシードの王子さまとドレスのお姫さま。

　二人を取りまく世界は、まるで別次元のよう。

　私は平々凡々の、ただの地味な女。

　洸君の隣に寄り添う田原さん。二人が教室に入ると歓声が沸いた。

　胸がキリキリ、ギュウギュウと締め付けられる。

「璃子……」

　心配そうなユイちゃんと眞壁さん。二人に心配かけたくなくて、大丈夫だと首を振って笑う。

　何となく視線を感じて、また前を向くと、こちらを見る洸君と目が合った。