地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
『友達として洸君が好き』

 ユイちゃんと眞壁さんに向けたように笑顔を作った。

 また、気持ちが揺らいでいる。

 本当の想いを届けたい。でも、私が洸君の隣に居たら?きっと、誰もが不信に思うだろう。

 田原さんは誰がどう見たってお姫さまだ。窓に張り付いている男の子達は彼女の微笑みに見惚れている。

 洸君がこっちに来ようと足を向けたが、田原さんに腕を引かれて彼女の友達がいる席へと行ってしまった。

「立花をここに呼ぼうか?璃子ちゃんの指名だって言えば……」

「ううん、良いの。ありがとう、眞壁さん」

 そう、彼の姿を見れただけで充分のはず。以前はそれだけで胸がいっぱいになって、幸福だったんだから。

 なのに、この満たされない心は、いつからだろう。いつから、こんなに我が儘で、欲張りになっていたんだろう。駄目だよ、だって、辛くなるだけなんだから。

 居たたまれなくなって立ち上がりかけた私に、突然たこ焼きが目の前に現れた。

「ん、食べなよ」
< 142 / 220 >

この作品をシェア

pagetop