地味優等生→リアルシンデレラ ～みつけてください王子さま～

　彩音の辛辣な言葉に、髪と同じ栗色の瞳が一瞬切なげに揺れる。その様子だけで分かってしまう。この外人さんは彩音のことが好きなんだ、と。

　それなのに、彩音は私の腕に引っ付き、村川さんが仕事で来られなくなった経緯と、同級生の彼を仕方なく連れて来たのだということを愚痴っぽく喋る。

　なんだか憐れに思って「来てくれてありがとう。お名前は？」と尋ねた。

「天羽 奏斗(ｱﾓｳ ｶﾅﾄ)。ハーフだけど、戸籍的には歴とした日本人だから」

　聞けば、お母さんがカナダの人で、お父さんは日本人。英語は日常生活での会話ぐらいは喋れるらしい。最初の怒っていた印象より落ち着いた物腰に、ほっとする。優しい人みたいだ。

「へぇ……それにしても綺麗な髪だね？触って良い？」

　と、聞きながら既に天羽君の髪に触れているユイちゃん。天羽君の白い肌が次第に紅く染まっていき、こちらが心配になるほど狼狽えてしまっている。

　その姿が可愛くて、思わず私も口が綻ぶ。ユイちゃんに至っては悪戯心に火がついたようで、天羽君で遊んでいる。

「……何よ、鼻の下伸ばしちゃって」