地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
ぼそっと呟いた彩音はおもちゃを盗られた子供のように拗ねていて、私はおや?と思った。
村川さん一筋の彩音が、しかも、日頃から同級生や年下の異性に厳しい彩音が、村川さん以外の男の子、天羽君に対して執着心を見せるなんて今まではなかったことのだ。
「天羽君て彩音のこと好きなんだね」
彩音の反応を見るためにそう言うと、あからさまに顔をしかめて私を見る。だけど、それは自分の本音を隠すための表情で、尖った口はもごもごと動くだけで反論してこない。
「優しそうだし、ハンサムだし、お菓子も作れるんでしょ?彩音の夢も叶えてくれそう」
「わ、私は!……っ、亮ちゃんしか好きじゃないもん」
認めない……というよりは、認めたくないといった感じ。私はこれ以上問い詰めるのはやめておいた方がいいと思い、彩音の為に買った家庭科部のパンを渡す。
「天羽君と分けてね」
「一人で食べてやる」
子供っぽくそっぽを向く彼女に肩をすくめ、天羽君を茶化して遊んでいるユイちゃんを彼から離す。大丈夫かな、このメンバー……と思いながら、今年の文化祭が去年よりも楽しくなりそうだと予感していた。
村川さん一筋の彩音が、しかも、日頃から同級生や年下の異性に厳しい彩音が、村川さん以外の男の子、天羽君に対して執着心を見せるなんて今まではなかったことのだ。
「天羽君て彩音のこと好きなんだね」
彩音の反応を見るためにそう言うと、あからさまに顔をしかめて私を見る。だけど、それは自分の本音を隠すための表情で、尖った口はもごもごと動くだけで反論してこない。
「優しそうだし、ハンサムだし、お菓子も作れるんでしょ?彩音の夢も叶えてくれそう」
「わ、私は!……っ、亮ちゃんしか好きじゃないもん」
認めない……というよりは、認めたくないといった感じ。私はこれ以上問い詰めるのはやめておいた方がいいと思い、彩音の為に買った家庭科部のパンを渡す。
「天羽君と分けてね」
「一人で食べてやる」
子供っぽくそっぽを向く彼女に肩をすくめ、天羽君を茶化して遊んでいるユイちゃんを彼から離す。大丈夫かな、このメンバー……と思いながら、今年の文化祭が去年よりも楽しくなりそうだと予感していた。