地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~


 大食いのユイちゃん、自由奔放な彩音。この二人は思っていたよりも手強かった。

 まず、ユイちゃんは食べ物を見ると食べたくなって、ふらっと店の中へと誘われてしまうし、彩音は立ち入り禁止になっている場所に入りたがったり、急にベンチのある所に行って勝手に休んでしまうし。

 私一人じゃ、きっと二人をまとめることは出来なかったであろう。模擬店で買い漁った食べ物たちを、中庭に設けられたテーブルに置いて、倒れるようにベンチに座った天羽君と私は顔を見合わせ、盛大に息を吐いた。

 初めて会ったけれど、同じ空気を纏っているようで、仲間意識を互いに感じている。

 私たちはようやく落ち着いてベンチに並んで座る二人に目をやる。すっかり仲良くなって、彩音はユイちゃんに髪を結ってもらっていた。

「柊さんて、この二人と全然違うよな……正直、疲れないの?」

 こそっと聞いてきた天羽君に、私は暫く考え込んでから首を振った。

「二人とも大好きだから。確かに振り回されることが多いけど、私は逆にそれが嬉しかったりするの」

 今度は天羽君が考え込んで黙ってしまう。

「私、人に遠慮ばかりしちゃうから、多分、それが相手との距離を開けてしまうじゃないかと思う。だから、そんなのお構いなしに私に接してくれる彩音やユイちゃんは大事な存在なんだ」
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