地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
 何度も、文字を読み返した。何度も、そんな訳ないと打ち消した。けど、暴れ始める鼓動は確かに意味を理解し始めていた。

 洸君が来た時に偶然当番になってたんじゃない。

 私が居ることを知って、彼が来てくれたんだ。

 困惑してる。顔を上げられないくらい頬が熱い。最近の洸君は変だ、私に勘違いばかりさせて。いや、勘違いする方が可笑しい?みんなは勘違いしないで、友達としてやっていけるの?

「あの、入れますか?」

 ぐるぐると自問自答を繰り返すが、お客さんの声に我に返る。

「はい!どうぞ!!」

 無駄に威勢の良い声が出て、小さな男の子を連れたお母さんに微笑まれる。私もお辞儀を返して中に案内した。

 すると、男の子は我慢しきれないといった風にお母さんに繋がれていた手を離して駆けていく。真っ直ぐ向かった先は射的の所だ。

「ボク、これしたい!」

「マサト、それはもう少し大きくなってからね。こっちで輪投げしない?」

「いやだ!これがいい!」
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