地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
 彼のことが頭に浮かんで、更に涙が止めどなく流れる。床に拳を叩きつけても、叫んでも、どうすることも出来ない感情。

 もはや叫ぶ力もなくなって、鼻を啜る音が虚しく響くだけ。

 もう、無理だ。

 こんな姿、彼に……大好きな人に見せられない。見せたくない。

 これから、あの二人が一緒にいる所を見せつけられるのだろうか?考えただけで、暗く、悲しい気持ちにさせられる。

 それでも、もう……

「璃子っ!」

 突然、後ろから呼ばれて振り向く。そこには、息を切って駆け寄ってくるユイちゃんと彩音の姿があった。

 その二人を見て、さっきとは違う涙が込み上げてきた。震える唇をきつく結んで、それを堪える。だけどそれは意味のないことだと、すぐに気付く。

 側に来てくれた二人が私を抱き締めてくれて、その瞬間に声を出して泣いた。

 小さい頃だって、私は人前で泣かないようにしていたのに。泣いたとしても、抑えられない涙が少し出てしまうだけだったのに。
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