地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
 もう何も構わずに、私は泣いていた。それを二人が抱き締めて、受け止めてくれる。何も言わず、ただ、私を待ってくれる。

 それから、暫くして落ち着いてきた私を、ユイちゃんと彩音は腕をほどいて見つめていた。

 まだ少し、しゃくりあげる私は息を整えてから口を開く。

「ありがとう、もう、大丈夫!さ、帰ろう?」

 笑って立ち上がり、二人も立つように促す。

「うん、泣いたらスッキリしたし、告白とかも、もうどうでも良くなっちゃった!」

「璃子」

 水浸しになった廊下をどうしようと悩んでいた私に、ユイちゃんは真剣な目を向ける。

「本気で立花のことが好きで、変わりたいって思う璃子を私は本当に応援したいと思ったし、出来るだけしてきたつもり。それを……どうでも良いで勝手に終わらせんの?」

 その声と表情は、田原さんの睨みなんかより何倍も凄みがあって、怖いと思ってしまう。けど、私もからからに渇いた喉で言葉を返す。

「気持ちなんて、変わるものじゃない?そもそも、洸君ってモテるから、もし運よく付き合えてもしんどそうだし、皆の前で振られても、この後の学校生活が苦しいでしょ?」
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