地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
「行きたい」

 答えの選択肢なんて、なかった。

「行きたい!洸君の所に!!」

 ひとつだけ、初めから。

 顔を上げた私の目に写ったのは、泣き笑いで抱き付く彩音と、笑顔を浮かべながら目を潤ませるユイちゃんだった。

「ごめん、璃子の辛い気持ちも分かってた。でもそれ以上に、正直になってほしかったの。ずっと」

 ユイちゃんは目頭を押さえていて、私と彩音が彼女の側に行くと「久々に泣いたわぁ」と顔を上に向けて深呼吸をしてから、私たちを見て笑った。

「ほら、泣いてる暇なんてないよ!今からあんの女狐に度肝ぬかしてやるんだから」

 ユイちゃんが怖い顔で笑っていて、軽く引き、隣を見ても同じ顔で、いや知らないでしょと彩音に尋ねると、おどけたように舌を出した。

「ま、私たちは璃子を全力で応援するだけ!時間がないから早く準備しなきゃ!!」

 私はユイちゃんと彩音に手を引かれて、トイレの中へと入った。
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