地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~


 想いを伝えると決めてから、ひー君と会える機会がなくて、昼休みになっていた。

 食堂でもひー君は現れなくて、どうしたのかな、とそわそわする私に、ユイちゃんは「あの女狐だよ」と低い声で呟いた。

「え?」

「立花から離れようとしないの。それだけじゃなく、璃子が立ち去ったことを、好き勝手言ってあいつの気を引こうと躍起になってる」

 聞けば私が立ち去ったのは、そもそも本気じゃないから面倒になる前に逃げたとか、私の印象を悪くしようとするものばかり。

「どこまで性格ひん曲がってるのよ!私が、その憎々しい顔を引っ叩いてやりたい衝動にどれだけさせられたか……!」

「お、落ち着いて、ユイちゃん」

 水を差し出すと、彼女は勢いよく一気飲みをしてダン!とコップを置いた。

 あの時の、田原さんを思い出してみる。彼の背中を見つめる傷ついた表情、私に向ける憎悪の表情。確かに、私にした事や、彼への執着はいき過ぎている所はある。でも……

「ごめん、ちょっと行ってくるね」
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