地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
「だからって、璃子に酷いことして良いことにはならないから」

 自分でも冷たい人間だとは思う。少しくらい同情でもしてあげたら良いのだろうけど。

「……ごめんなさい」

 溢れる涙で、彼女の完璧な化粧が滲んで落ちていく。

「謝る相手、違うんじゃない?」

「……!私を許してくれるの?結奈っ」

「許す?もしかして、また友達“ごっこ”に付き合わせるつもり?冗談じゃない」

 掴んでいた腕を離す。

 さおりの腕はだらりと膝の上に落ちた。その顔は、マスカラやファンデーション、チークが溶け合って、情けない表情だった。

 それに、多少なりとも心が痛んだが、私は背を向けて歩き出す。

『結奈!私たち、ずっと友達だから』

 私たちは、もう友達じゃない。

 離れた距離は、もう戻せない。
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