地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
「こっちこそ、ごめん!!腕、大丈夫?」
商店街の喧騒とか、ぼんやりする視界とか、関係ない。
好きな人の声が、どうしてかすぐ近くから聞こえて、それを間違える訳もなくて、混乱する頭で何度も自問自答を繰り返す。
その人の顔をじっと凝視したまま固まっていたからだろう、彼はまた一歩、私に近づいて……
「君、俺とどこかで会ったこと、ある?」
疑問というよりも確信に近い響きを持たせた立花君の声、私の手に遠慮がちに触れた手、覗き込まれる目。
「わ、私……っ」
「おーい、洸ー!って、何ナンパしてんだよ!?これから田原たちと約束あんだから怒られるぞ」
学校でよく彼と一緒にいる男子(であろう)の声が発した田原という名前。確か、ユイちゃんが教えてくれた、立花君と同じクラスの、あの派手な女の子。彼のことが好きな子。
「私、大丈夫ですからっ!」
「あっ、待って」
彼の制止を振り切って、私は走り出していた。
私はいつだって、神様が与えてくれた機会を無駄にする。
どうして、私が柊璃子だって言えなかったのかな。彼の目に私という人間がうつっていたのに、なんでそこから逃げてるのかな。
田原っていう女の子と立花君が並んでいる背中を思い出して溢れる嫌な気持ち、触れた手の熱、今まで有り得なかったほどの距離。
こんなの、全部知らないよ……!
商店街の喧騒とか、ぼんやりする視界とか、関係ない。
好きな人の声が、どうしてかすぐ近くから聞こえて、それを間違える訳もなくて、混乱する頭で何度も自問自答を繰り返す。
その人の顔をじっと凝視したまま固まっていたからだろう、彼はまた一歩、私に近づいて……
「君、俺とどこかで会ったこと、ある?」
疑問というよりも確信に近い響きを持たせた立花君の声、私の手に遠慮がちに触れた手、覗き込まれる目。
「わ、私……っ」
「おーい、洸ー!って、何ナンパしてんだよ!?これから田原たちと約束あんだから怒られるぞ」
学校でよく彼と一緒にいる男子(であろう)の声が発した田原という名前。確か、ユイちゃんが教えてくれた、立花君と同じクラスの、あの派手な女の子。彼のことが好きな子。
「私、大丈夫ですからっ!」
「あっ、待って」
彼の制止を振り切って、私は走り出していた。
私はいつだって、神様が与えてくれた機会を無駄にする。
どうして、私が柊璃子だって言えなかったのかな。彼の目に私という人間がうつっていたのに、なんでそこから逃げてるのかな。
田原っていう女の子と立花君が並んでいる背中を思い出して溢れる嫌な気持ち、触れた手の熱、今まで有り得なかったほどの距離。
こんなの、全部知らないよ……!