地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
 良いものとやらを探しにいって、万里子さんはすぐに帰ってくる。その手には何冊かの本が抱えられていた。

「うわ、ちょっと!それ私の部屋から勝手に!?」

「いいじゃない、減るもんじゃないし、目当ては洸なんだから」

 ほんとに速川家は賑やかなんだなぁと、二人のやりとりを微笑ましく見ていた私の前に、本の束……アルバムがドサッと置かれた。

「ユイからは聞いてるでしょ、洸が私の姉の子供で二人がいとこだって」

「ええ、まあ」

「洸はこの商店街のほぼ裏にあるマンションに住んでて、両親が共働きで留守の時はよくここに来てたの。だからユイの隣にはいっつも洸がいて、写真にもうつってるの」

 ぱらぱらとアルバムを捲っていく万里子さんの隣で、半ば諦め気味のユイちゃん。彼女には悪いけど、小さい二人を見てみたくて、身を乗り出す。

「ほら、見て。ちっちゃい頃はユイよりも背が低くて小柄で、女の子みたいな洸。ユイは今と変わらず、ませたガキだけど」

「ほんとだ、可愛い」

 今の立花君からは想像もできないほど小さくて、ぷくっと膨らんだ頬はリスのようだ。けれど……

「でも、笑ってないですね」
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