地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
 歯が抜けたのをむしろ誇らしげに笑っているユイちゃんの隣にひっついている立花君は、口元をぎゅっと引き結んで俯いていた。

「……そう、この頃、洸は全然笑わない子で人見知りがひどかった」


『ここにいたんだ、柊さん』

『柊さん、なんか雰囲気変わった?』

『これ、好きでしょ』

『君、俺とどこかで会ったこと、ある?』


 立花君のことを思い出しても、人見知りする人だなんて思えなくて、でも、写真の中の立花君と私が似ているのはなんとなく分かる気がした。

「うちの父ちゃん、その頃のうじうじして根暗な立花が大嫌いで、無理矢理髪切っちゃったんだ」

 後で立花親子にこっぴどく叱られたけどー、あははー、なんて何でもないことを話しているといった感じのユイちゃんと万里子さん。私は何も言えなくて、瞬きを繰り返した。

「その時の写真、あったはず……あっ!これこれ」

 万里子さんが指し示したのは、お店の中で彰さん(ユイちゃんのお父さん)と並ぶ彼の姿。彼は目のギリギリまで伸ばされていた髪をばっさりと切られ、頭を彰さんに掴まれて顔を上げさせられていた。

 嫌そうに寄せられた眉間、しかし口角はほんの少し上がっているようにも見える。
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