地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
 他のクラスからは楽しげに笑う声が聞こえる。クーラーからは冷たい風がビュービュー流れている。

 美術部の二人は相変わらず自分達だけの世界で、自分達の見ているもの、感じているものを共感しあっていた。

 誰それの態度が気にくわない、あのグループは上辺だけの付き合い、誰と誰が付き合った、別れた、ドラマの評論……。

 そこに私の存在はないのだろう。絶対的リーダーの指示の元、クラスTシャツの色と文字フォントを選び、デザインの下書きをしていく私が会話に入ることはない。

 Tシャツの文字は適当でも選んだフォントにしてくれるらしいが、絵の部分はそのまま採用だから、描いては消してを繰り返している。

 そういえば、中学の時も文化祭の準備でこんなことをしていた。その時はポスターだった。私と彩音二人で、ちょうど原田さんと工藤さんのようにおしゃべりしながら。

 もっぱら私は聞くともなしに相槌役を徹底していたような気もするが。

 なんて考え事をしていて、ついぼーっとしていると名前を呼ばれ、そちらに振り向いた。
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